【間違いだらけのマットレス選び その③】 低反発マットレスは体圧分散性が高いので身体に良い

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1.マットレス選びでこんな間違い・勘違いしていませんか?

□試し寝しないでマットレスを選んだ

□マットレスは硬い方が身体に良い

□低反発のマットレスは身体にフィットするので良い

□高反発のマットレスは寝返りが打ちやすいので良い

□腰痛に良いマットレスを買った

□体格の異なるご夫婦が同じマットレスで寝ている

□有名ブランド・有名人が使っているマットレスを選べば良い
 
上記の項目は、全て私が普段の接客の際に、お客様からよくお聞きする言葉です。
 
これらのどこが間違っているのか?正しいことを正しく伝えるスタンスで、できるだけ分かりやすくご説明したいと思います。
 
まとめて書くとかなりの長文になりそうですので、連載形式で何度かに分けて記します。
 
今回のテーマは『低反発マットレス』です。  
 
目次
1.マットレス選びでこんな間違い・勘違いしていませんか?
2.かつて一世を風靡した低反発素材(枕、マットレス)
3.低反発マットレスの長所 体圧分散性が高い
4.低反発マットレスの欠点① 寝返りが打ちにくい
 4-1.寝返りの役割とは?
 4-2.低反発マットレスの場合
5.低反発マットレスの欠点② 沈み込みが強い
6.低反発マットレスの欠点③ 気温によって硬さが変わる
7.低反発マットレスの欠点④ 夏場暑苦しい
8.しかしながら・・・私にとって
9.低反発マットレスが合う人・合わない人
 9-1.低反発マットレスが合わない典型的なケース
 9-2.低反発マットレスが合うケース
10.これに対して高反発マットレスは?
11.高反発マットレスは硬めの素材が多く、フィット感に劣る傾向
12.『低反発』『高反発』といった言葉だけでマットレスを選ぶのは失敗のもと
13.実際に体感してマットレスをお選びください
14.体形測定&体圧分散測定であなたのマットレス選びをサポート
15.寝心地ラボ+ byふとんのせいぶ 店舗情報

文字数:約6,200字
読み終えるまでの時間(目安):約15分

 

この記事は自称『日本一文章を書くのが好きなふとん屋』が書きました

 

2.かつて一世を風靡した低反発素材(枕、マットレス)

 
かつて枕やマットレスの素材として一世を風靡した低反発素材。私がこの業界にやってきた2003年頃は、枕といえば『低反発枕』でした。『低反発枕』から少し遅れて『低反発マットレス』人気が高まりました。
 
低反発ブームの牽引車といえば『テンピュール』、それから遅れて『トゥルースリーパー』などが有名どころです。
 
確かに『低反発マットレス』は柔らかいため、背中の凹凸はぴったりと埋まります。あの独特のフィット感を好まれる方も多くいらっしゃいます。
 
 

 

3.低反発マットレスの長所 体圧分散性が高い

低反発マットレスの長所として良く知られているのが『体圧分散性』に優れることです。
 
睡眠時の体圧分布

 

『体圧分散』とは『睡眠時(寝姿勢)において、身体と敷き寝具と接触する面の一部に圧力が集中することなく、接触面全体に均等に圧力が掛かっている状態』と定義されます。

硬いマットレスであるとか、せんべいふとんで寝た場合、背中やお尻の凸部分に体圧が集中します。

体圧が集中する部分の血流が妨げられ、違和感を感じます。そのため寝返りの回数が増え、睡眠の質の低下につながります。

 
上の例は体圧分散の悪い状態で、お尻に強い圧力が掛かっている一方で、腰の下には大きな隙間が出来ていることが分かります。

これに対して低反発マットレスは体圧分散性に優れるため、部分的に圧力が掛かったり、腰の下に隙間が出来にくくなります。

特に痩せ型の人で、マットレスが硬すぎるため『腰に隙間が出来る』『背中が痛い』といった場合、その上にオーバーレイとして低反発のマットレスを重ねることで、改善が期待できます。

その一方で、低反発マットレスにはいろいろな欠点があることが知られています。  

 

4.低反発マットレスの欠点① 寝返りが打ちにくい

低反発マットレスの短所として最も広く知られているのが『寝返りが打ちにくい』ことです。
 
そもそも寝返りの役割は何でしょうか?

4-1.寝返りの役割とは?

『寝返り』の役割は主として次の2つが挙げられます。

①敷き寝具と接触している部位で滞りがちな血流を接触部位を替えることで促進する。
②寝床内、特に敷き寝具と接触している部位にこもる熱や湿気を循環させることで寝床内の環境を快適に保つ。

そもそも(睡眠時の)寝返りは無意識の現象です。当店に来られるお客様の中に『私は寝返りはまったく打ちません』という人がおられますが、おそらくそれはご本人が自覚していないだけで、実際には寝返りを打っているはずです。

一説によるとヒトは一晩のうちに平均して約20回寝返りを打っていると言われています。

『ずっと動き続ける』事はもちろん疲労の蓄積につながります。しかしながらその反対『まったく動かずじっとしている』のも身体にとって大きな負担となります。

身近な例でご説明しますと、長時間正座をしていると足がしびれます。

また『エコノミー症候群』という言葉を耳にしたことがあると思います。

飛行機の狭いシートで長時間動かずにじっとしていることで、体内の血流が妨げられたり、血栓が形成され、場合によって生命の危険につながる事もあるとか。

さらには寝返りと直接関係のある重篤な例としては『褥瘡』いわゆる『床ずれ』が挙げられます。

高齢者で、身体(筋力)が弱ったことにより、寝返りが打てなくなり、敷き寝具と接触している時間の長い、なおかつ身体の中で最も重い臀部(お尻)の組織が壊死してしまう状態です。

これらの例からも『動かずじっとしている』事、睡眠時に限って言えば『寝返りの打てない』事が、いかに私たちの身体に負担が掛かるかをご理解いただけると思います。

4-2.低反発マットレスの場合

『寝返り』をスムーズに打つために重要になってくるのが敷き寝具の反発力です。

低反発マットレスの場合、文字通り反発力が極めて弱い・・・というよりも、寝返りしようとする力をむしろ吸収してしまうので、寝返りが非常に打ちにくいのです。

そのため低反発のマットレスを使った方から

『最初は気持良いと思ったけど、自分の身体の形に埋まってしまう。』
『寝返りを打つたびに“よっこいしょ”と踏ん張る感じでしんどい』

といった声をよくお聞きします。 低反発マットレス

もちろん低反発マットレスを使っておられる方の中で『気持ち良く眠っている』という人も多くおられるので、全員が上記のような感想を持っているワケではありませんが、寝返りの打ちやすさが低下するというのは、間違いない部分だと言えます。

健常者が低反発のマットレスを用いた場合、さすがに寝返りが打てないという事はありませんが、(無意識のうちに)寝返りの回数が減る、寝返りのたびに眠りが浅くなる(場合によっては覚醒する)といった弊害が懸念されます 。

 

5.低反発マットレスの欠点② 沈み込みが強い

低反発マットレスは、柔らかめの物性により 『身体(腰)が過度に沈み込む』という弊害が生じやすいです。

使用者の体重によっても異なりますが、特に体重の重い人に顕著に生じます。

これが腰に負担の掛かる状態であることは一目瞭然です。

特に腰が悪くて体重の重い人が低反発マットレスを用いた場合、仰向きで寝ると腰に非常に負担が掛かるので、必然的に横向き寝が増えます。

なおかつ寝返りが打ちにくいので、横向きでじっとした寝姿勢を取りがちで、朝起きた時『しんどい(-_-;)』という事になってしまいます。

 

 

6.低反発マットレスの欠点③ 気温によって硬さが変わる

低反発マットレスの欠点として『硬度の温度依存性』がある点は意外と知られていません。

『硬度の温度依存性』というと難しく聞こえますが、簡単に言うと『気温によって硬さが変わる』ということを意味しています。

具体的には、
夏(高温時)⇒柔らかくなる
冬(低温時)⇒硬くなる

低反発マットレスをお使いの方から、『最初は寝心地が良かったのに、半年ほど使うと合わなくなった』というお声をよく聞きます。

これは『冬に購入した時には硬くて寝心地がちょうど良かったけど、夏になって柔らかくなって合わなくなった。』といったケースが多い印象です。  

 

7.低反発マットレスの欠点④ 夏場暑苦しい

低反発ウレタンは石油由来の原料から作られるため、『吸湿性』がかなり低いです。また『通気性』にも劣っています。

『吸湿性』と『通気性』に劣るということは、特に夏場にムレ感が強くなることを意味しています。

素材が、夏場には柔らかくなり、背中にぴったりと密着するのですから、当然熱や湿気がこもります。

ただでさえ夏場は、一年中で最も寝返りが増える季節です。

先ほど申し上げた通り低反発マットレスは、夏場最も柔らかくなる=反発力が弱くなる=寝返りが打ちにくくなります。

そのため特に体格の良い男性の多くは『夏場に不快で使っていられない』という不満を訴えられます。

逆に言うと、低反発マットレスを好んで使用している方の多くは、細身の女性に多い印象があります。

 

8.しかしながら私にとっては・・・

ちなみに私自身(身長165㎝、体重55㎏、細身、背中のカーブきつい)に対する究極の質問として、
 
『ペラペラのせんべいふとん1枚』
 
『ペラペラのせんべいふとんの上に低反発を重ねる』
 
のどちらを選ぶか?と聞かれたら、私は迷わず後者を選びます(=低反発を使う)・・・ということはつけ加えておきたいと思います。
 
私はせんべいふとん撲滅主義者です(笑)
 
ですから『低反発マットレスはとにかくダメ』と、全否定しているわけではない点はご理解ください。
 
ここで低反発マットレスの合う人(向いている人)・合わない人(向いていない人)の大まかな傾向をまとめてみました。

 

9.低反発マットレスが合う人・合わない人

低反発マットレスが合う人(向いている人)、合わない人(向いていない人)に関してまとめてみました。

かなり大雑把な傾向ですので、もちろん例外も多々ありますが、おおまかはこのようなイメージです。 ・体格に関して
低反発が合う 痩せている人
低反発が合わない がっちりしている人、太っている人

・温度感受性に関して
低反発が合う 寒がりの人
低反発が合わない 暑がりの人

・性別に関して
低反発が合う 女性
低反発が合わない 男性

・寝姿勢に関して
低反発が合う 横向き寝の多い人
低反発が合わない 仰向き寝の多い人

・寝返りに関して
低反発が合う 寝返りの多い人
低反発が合わない 寝返りの少ない人

 繰り返しになりますが、あくまでも大ざっな傾向ですから、単に鵜呑みにしないようお願い申し上げます。

9-1.低反発マットレスが合わない典型的なケース

体格が良くて、暑がりの男性、しかも腰痛持ちという方は、低反発マットレスは合わないという事は、ほぼ断言しても差し支えないと思います。


仰向きで寝ると腰が沈み込んで、腰に負担が掛かります(=腰痛の悪化)。

しかも密着性が高く、その反面通気性・吸湿性が低いので、夏場は背中に熱と湿気がこもり、相当に寝苦しいと思います。  

9-2低反発マットレスが合うケース

それはズバリ『細身の女性』です。

こういった方が硬めのマットレスを使うと腰が浮いたり、背中が痛かったりします。

そのため低反発をオーバーレイ的に重ねることで、改善されるケースがあります。

 

10.これに対して高反発マットレスは?

低反発マットレスに代わって、最近よく耳にするのが『高反発マットレス』です。
 
高反発マットレスの売りは『寝返りの打ちやすさ』です。低反発マットレスのところでも書いた通り『寝返りの打ちやすさ』はとても重要です。
 
しかしながらそれだけでマットレスの良し悪しを決めることは出来ません。
READ  【間違いだらけのマットレス選び⑤】 高反発マットレスは体格の良い人向け

 

11.高反発マットレスは硬めの素材が多く、フィット感に劣る傾向

高反発を謳うマットレスの多くは硬めの素材が多く、フィット感に劣る傾向がある事は意外と知られていません。
 
極端なたとえ話になるかも知れませんが、トランポリンの上で眠る事を想像してみてください。 反発力は極めて高いので寝返りは打ちやすいかもしれません。でも硬いですよね。そのため背中の凹凸にフィットしないのでかなり寝苦しいと思います。
 
 
 

 

12.『低反発』『高反発』といった言葉だけでマットレスを選ぶのは失敗のもと

『低反発マットレスと高反発マットレス、どちらがおすすめですか?』というご質問をお客様からよく受けます。
 
しかしながらこの質問に対して一言で答える事は不可能です。
 
そもそも『低反発』『高反発』いったメーカーの謳い文句だけを鵜呑みにしてマットレスを選ぶのは失敗のもとです。
 
一般論として、
  • 低反発⇒『体圧分散性、フィット感○』『寝返りの打ちやすさ×』
  • 高反発⇒『体圧分散性、フィット感×』『寝返りの打ちやすさ○』
という傾向があることをまず理解ください。
 
低反発マットレスと高反発マットレスの長所・短所
 
つまり、フィット感と反発力は相反しがちな要素なのです。
 
READ  【独自解説】大谷翔平選手が愛用している[エアーSX]マットレスを販売店の立場から、どこよりも分かりやすく徹底解説しました
 
にもかかわらず『低反発マットレス』『高反発マットレス』を販売(紹介)している多くのインターネットサイトでは、そういった本質的な部分が語られず、自社商品の良さのみを訴求している事が多いように感じています。
 

 

13.実際に体感してマットレスをお選びください

上記のことを踏まえて、マットレスを選ぶ際には、

そのマットレスの ・フィット感、体圧分散性 ・反発力、寝返りの打ちやすさ のバランスを見極め、

それをもとにご自分の体型(背中のカーブの深さや特徴)やBMI(肥満度合=身長体重のバランス)、さらには『寝姿勢』『お悩み』に合わせて選ぶことが重要となります。

何度も繰り返しますが、『低反発』『高反発』という言葉だけを鵜呑みにしてマットレスを選ぶのは失敗のもとです。

 
 

14.体型測定&体圧分散測定であなたのマットレス選びをサポート

当店では西川株式会社、睡眠科学研究所認定のスリープマスターエキスパートが、特許取得の測定器を用いて、体型(背中のカーブ)および体圧分散を測定して、あなたのマットレス選びをサポートします。

スリープマスターエキスパートが在籍

スリープマスターエキスパートが在籍しているのは、四国四県(香川県、愛媛県、徳島県、高知県)では当店だけです(2024年10月5日現在)。

体形(背中のカーブ)測定

体圧分散測定

測定結果の説明

マットレスのフィッティング

 

15.寝心地ラボ+ byふとんのせいぶ 店舗情報

寝心地ラボ+ byふとんのせいぶ(西部製綿株式会社)のロゴマーク

寝心地ラボ+ byふとんのせいぶ
西部製綿株式会社
香川県観音寺市豊浜町箕浦甲2424
0875-52-3234

寝心地ラボ+ byふとんのせいぶ(西部製綿株式会社)の店舗外観
寝心地ラボ+ byふとんのせいぶ(西部製綿株式会社)の店舗外観(夜)

2階建ての体感型のショールームです。

寝心地ラボ+ byふとんのせいぶ(西部製綿株式会社)の店舗1階
寝心地ラボ+ byふとんのせいぶ(西部製綿株式会社)の店舗2階

 

アクセス

寝心地ラボ+ byふとんのせいぶ(西部製綿株式会社)へのアクセスマップ

四国各地からのアクセスも抜群  

 

四国各地からのアクセス良好

・高松中央ICより50分
・松山ICより80分
・徳島ICより90分
・高知ICより60分

近隣地域

■香川県 観音寺市、三豊市
■愛媛県 四国中央市
■徳島県 三好市

対応地域(スタッフ自ら配達、アフターフォロー可能)

■香川県 高松市、丸亀市、坂出市、善通寺市、さぬき市、東かがわ市、三木町、宇多津町、綾川町、琴平町、多度津町、まんのう町
■愛媛県 松山市、今治市、新居浜市、西条市、伊予市、東温市、松前町、砥部町、
■徳島県 徳島市、鳴門市、小松島市、阿南市、吉野川市、阿波市、美馬市、三好市、石井町、神山町、松茂町、北島町、藍住町、板野町、上板町、つるぎ町、東みよし町
■高知県 高知市、南国市、土佐市、須崎市、香南市、香美市、いの町、土佐町、本山町、大豊町、芸西村

その他のエリアにお住いの方も、対応可能場合がありますのでご相談ください。

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自称『日本一文章を書くのが好きなふとん屋』

かつてはカネボウで化粧品研究員をしていました(口紅やマスカラの処方開発担当)。現在は縁あって(婿養子)香川県で『寝心地ラボ+ byふとんのせいぶ(西部製綿株式会社)』の社長をしています。自称『日本一文章を書くのが好きなふとん屋』です。広島県出身の熱狂的カープファン。現在56歳ですが、9歳と6歳の男の子のおっさんパパ。『寝具』や『眠り』のことだけでなく、『子育て』のことを書くこともあります。もと研究員だけあってかなり理屈っぽいですが、出来るだけ読みやすい文章を心がけています。

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