謝辞全文をご紹介します ~息子の保育所の修了式にて~

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1.はじめに

私は2年間、次男が通う豊浜保育所で保護者会長を務めさせていただきました。その関係で令和6年3月25日の修了式において、謝辞を申し上げる機会を頂戴しました。

謝辞の文面を考えるにあたってはかなり頭を悩まし、インターネットでいろいろ情報収集して、参考にさせていただきました。

おかげさまで自分としては納得できる謝辞を申し上げることが出来たと思っていますし、参加された方々からの好評価も頂戴しました。

これからも毎年春が近づくと、今回の私と同様に『保育所の修了式』もしくは『幼稚園の卒園式』の謝辞の文面で頭を悩ませる方が数多くおられ、インターネットで情報収集されるのではないかと思います。

少しでもそういった方の参考になれば・・・と、私が『謝辞の作成過程で悩んだこと』や『謝辞を作成するうえで大切にしたこと・考えたこと』を記録として残した上で、謝辞の全文をご紹介したいと思います。

 

目次
1.はじめに
2.最初は軽い気持ちで引き受けました
3-1.課題その① 文字数
3-2.課題その② 謝辞=先生方へのお礼・・・だが子供たちも聞いている
3-3.課題その③ 当日、泣かずに話すことが出来るか?
4.原稿の作成に着手しました
5.インターネットで情報収集
6.私があえて独自化を試みた部分とは?
7.最初に息子のエピソードを盛り込んだ理由
8.文字数のこと
9.感動的な表現、泣かせるフレーズは極力排除
10.子供たちの成長エピソードは何を話す?
11.修了式の進行・雰囲気を想定
12.ごく日常的な光景について話すことに
13.子供たちに直接語り掛けるパートを追加
14.ようやく完成
15.全文紹介
16.妻に頼んで筆ペンで清書
17.何度も声に出して練習
18.いざ本番
19.終わってみての反応

 

2.最初は軽い気持ちで引き受けました

所長先生からは、かなり以前から『修了式の謝辞をお願いすることになると思います。』言われており、私は軽い気持ちで『承知しました。』とお答えしていました。

しかしながら正式に依頼を受けて、いざ話す内容を考え始めてみると『これはなかなか大変なものを引き受けてしまった。』と思い始めました。

大きく3つの課題があると感じました。

 

3-1.課題その① 文字数

俳句『五七五』、短歌『五七五七七』まで持ち出してしまうと極端ですが、限られた文字数で、言いたいことを過不足なく盛り込むのは、かなり難易度が高い作業です。

お伝えしたい感謝の言葉や、思い出されるエピソードがたくさんあって、それらを一つの文章としてまとめ上げ、謝辞の目安とされる1,000文字程度にまとめるのは非常に困難だと思いました。

 

3-2.課題その② 謝辞=先生方へのお礼・・・だが子供たちも聞いている

私は人前で話をするのは慣れているつもりです。その際には『誰』に向けて話すのかを意識して、その相手に合わせた内容、話し方をするように心がけています。

今回の場合、修了式における謝辞ですから、保育所の先生方にお礼の言葉を申し上げることになります。

ただその場では、当然子供たちも聞いています。そのため子供たちにも伝わる内容であるべきです。

このあたりのバランスを取るのは非常に難しいと感じました。

 

3-3.課題③ 当日、泣かずに話すことが出来るか?

もしかしたらこれが最大の難関かもしれません。

修了式に向けて、子供たちはずっと前から毎日練習を重ねてきました。

実はこの4月から新しくこども園が開園される関係で、保育所はこの3月末をもって閉所となります。つまり長い歴史に幕を閉じる最後の修了式ということになります。

先生方に気合が入っているのは当然の成り行きです。

子供たちも親たちに観てもらうのを楽しみに、ノリノリで練習に取り組んでいるようです。息子は日々その様子を教えてくれるようになりました。

先生からは『これは家の人には内緒ね。』と言われているパートがあったりするらしいのですが、それ以外の『歌』や『保育所の思い出』を話す部分、あるいは『入場の際の歩き方』『終了証書の受け取り方』などを、家で実際に演じてくれました。

家でそれを見ただけで泣いてしまいそうになりました。

本番では、子供たちの感動の演出をたっぷり観た上で謝辞を述べるのですから、『どんな精神状態で臨むことになるのか?』全く予測不能で、場合によっては『泣き崩れてしまうのではないか?』という不安が芽生えてきました。

正直申し上げて、これまで人前で数多くお話ししてきた中で、最も難易度の高いミッションだと考えるようになりました。

 

4.原稿の作成に着手しました

保育所からは、謝辞の依頼文とあわせて、過去の原稿を貸してくださいました。

そもそもこういった物が保管されていることに驚きました。

実は私、人前でスピーチなどをする時に『原稿を読む』という習慣がないので、原稿を書くことは考えておらず、原稿無しでお話しするつもりでいました。

しかしながら所長先生が『謝辞が終わった後には、原稿は壇上に置いて行ってください。残しておきますから。』と仰ったこともあり、原稿を作成することに決めました。

しかも当日感情が入り過ぎて失敗しないためには、原稿があった方が安心です。

 

5.インターネットで情報収集

いざパソコンに向かって原稿を打ち込み始めてみると、お伝えしたい感謝の気持ちや、思い出されるエピソードがたくさんありすぎて、それらを一つの文章としてまとめ上げるのは非常に困難な作業でした。

 

インターネットで
『保育所 修了式 謝辞』
『幼稚園 卒園式 謝辞』
と検索して、いろいろ調べたりもしました。

感動的な謝辞がいくつも出てきました。またいろいろな人がそれぞれの体験に基づくアドバイスなどをされていました。

謝辞の基本的な構成が下記のようなものであることを理解しましたので、それに沿った文章を組み立てることにしました。

1.時候・季節の挨拶

2.修了式を開催してくださった先生方・来賓へのお礼

3.これから謝辞を述べる自分の立場を明確化する

4.保育所の思い出・エピソードなど

5.先生方へのお礼

6.子どもたちの今後の展望

7.締めの言葉

8.修了式の日付、名前

 

6.私があえて独自化を試みた部分とは?

謝辞の文章を構成する上で、基本的な指針がいろいろあることも分かりました。これらも大いに参考にさせて頂きました。

しかしながら、私は下記の点に関して一般的な指針の通りにはしませんでした。

1)文字数は1,000文字程度が目安

⇒1,500文字を超えました

2)個人的なエピソードはあまり話さない

⇒敢えて息子のエピソードから始めました

3)感動的、泣かせる表現は極力排除しました

4)謝辞=先生方へのお礼ですが、敢えて子供たちに直接語り掛けるパートを盛り込みました

 

7.最初に息子のエピソードを盛り込んだ理由

保護者を代表しての謝辞ですので、自分の子供のことを話しすぎない方が良いのは重々承知しています。

ただ・・・

息子は生後1か月で心臓に大病を患い、生死の境をさまよいました。何とか一命をとりとめたものの、特効薬の点滴を365日、24時間ずっと投与する必要がありました。そのため保育所でも点滴のポンプが入ったリュックをずっと背負っていました(5歳児クラスの4月になってようやく点滴を外すことができ、飲み薬で代用できるようになりました)。

そのようなハンディキャップを背負っていましたので、事前に何度も打ち合わせの機会を作って頂き、息子に専属の先生を一人付けるという特別体制を整えた上で、受け入れて頂きました。

万が一点滴が外れたりしたら救急車で病院直行ですので、先生方にお気を遣わせたり、ご負担をお掛けした部分も多々あったと思います。

そのようないきさつがあったので、そのことに対するお礼を言わないという選択肢は、私の中にはありませんでした。

そして、ハンディキャップを抱えた息子を大切に扱ってくださったことを話した方が、保育所の素晴らしさが、来賓の方や他の保護者の方にしっかり伝わるとも考えました。

 

8.文字数のこと

『結婚式で主賓の祝辞がダラダラ長くて興ざめ』という経験は多くの方がお持ちだと思います。

挨拶は出来るだけ簡潔である方が好ましいのは言うまでもありません。

しかしながら息子のエピソードに文字数を使っていますので、一般的な1,000文字に収めてしまっては、それ以外の部分がスカスカになってしまいます。

伝えたいと思うことを盛り込んでいくと、文字数はすぐ2,000字に迫り、ばっさり削除して1,200字くらいに減らすと中身が薄くなるので、また足して、また削除して・・・を繰り返しました。

そういった作業を繰り返していく中で、私の中では1,500文字が一つの目安となってゆきました。

その分無駄な表現はそぎ落とし、メリハリのある文章になるよう心掛けました。

 

9.感動的な表現、泣かせるフレーズは極力排除

保育所からお借りした過去の謝辞や、ネットで検索して出てくる文例に

『最初の頃は泣いてしがみつく子供を先生に預けて、後ろ髪を引かれる思いで保育所を後にしました。』

といった表現が、数多く採用されています。定番のフレーズと言っても過言ではありません。

私たちも全く同感で、最初の頃は後ろ髪を引かれる思いで息子を預けていました。

そのため、最初はそのようなフレーズを入れていましたが、敢えて外しました。

それ以外にもインターネットで『卒園式の謝辞で泣ける例文紹介します』といった記事の中に、数多くの泣かせるエピソードや感動的な表現が紹介されています。実際読むだけでウルっとくるものが数多くありましたが、こういった表現は出来るだけ用いないようにしました。

理由は簡単です。

『話している自分自身が泣いてしまいそうだから。』

聞いている人に感動してもらおうとか、泣かせようとかあまり考えずに、ありのままの感謝の気持ちを先生方にお伝えし、子供たちの巣立ちを祝う、自分らしい言葉作りに専念しました。

このスタンスは謝辞の内容を考える上で、かなり重要な指針ではないかと私は個人的に考えています。

 

10.子供たちの成長エピソードは何を話す?

子供たちの成長に関する具体的なエピソードは、謝辞の中でも最重要パートと言えます。

やはり『運動会』や『表現会(お遊戯会)』に関するエピソードが良く用いられているようです。

私も最初は『表現会』を考えていました。

5歳児クラスの時の表現会で、子供たちはピーターパンの劇を元気一杯、見事に演じきってくれました。

そして最後に、子供たち全員で『僕たち、私たちは、来年から小学生になります。』から始まる立派な挨拶をしてくれたのです。あの時のお遊戯室の雰囲気は圧倒的に感動的なものであり、ほとんどの保護者が目をぬぐっていました。

私にとっても非常に印象深い光景でしたので、このことを話そうと考えていました。

 

11.修了式の進行・雰囲気を想定

謝辞の内容を考える時、修了式当日の進行や雰囲気を、出来る限り事前に情報収集し、想定しておくことはとても重要だと思います。

6歳にもなると、修了式の式次第などはほぼ完ぺきに理解できています。それを息子からどんどんヒアリングして、謝辞の内容に反映させるよう心掛けました。

その中で、あることに気がつきました。

『修了式の子供たちは、表現会を上回る感動を私たちに与えてくれるはずだ!』

ということに。

・・・となってくると、そのことに言及しないワケにはいきません。『表現会では感動しました。』『修了式の子供たちの成長した様子に感動しました。』と重ねてしまうのは、俳句でいうところの二重季語みたいなもので、文字数の限られた謝辞としては勿体ない作りになってしまうと思いました。

そこで表現会について話すのは、泣く泣く見合わせることにしましたが、その時にボツにした文章をご紹介します。

 

~ボツにした表現会のパート~

子供たちの成長を実感できた出来事として、表現会を挙げたいと思います。

3歳児みどり組の時は赤忍者・青忍者の劇でしたが『セリフをちゃんと言えるかな?』『平均台から落ちないかな?』など、ハラハラ見守ってばかりおりました。

しかしながら昨年12月の表現会では、子供たちが『ピーターパン』『ティンカーベル』『海賊』『ジョン』の役にそれぞれ成りきって、元気一杯見事に演じ切ってくれました。

そして最後の挨拶では『僕たち、私たちは・・・』と、子供たちが未来を語ってくれました。あの時の遊戯室の感動的な雰囲気は、今でもはっきりと覚えています。

 

12.ごく日常的な光景について話すことに

私は日常のエピソードをお話しすることにしました。

夕方4時くらいにお迎えに行った時、いつも子供たちは終礼(帰りのご挨拶)をしていました。

椅子に深く腰かけ、膝の上に両手を添え、背筋をぴしっと伸ばして、先生の方を真っすぐ見ている子供たち。

この可愛くて行儀良い姿は、私のお気に入りであり、私はこの光景を見るのをいつも楽しみにしていました。

そして子供たちをここまでしっかりと躾けてくださった先生方には、いつも尊敬の念と感謝の気持ちを抱いていましたので、そのことをお話しすることにしました。

結果的には、担任の先生から『日常生活の細かいところを見てくださっていたことに感激しました。』とのお言葉を頂くことが出来ました。このことは後述します。

 

13.子供たちに直接語り掛けるパートを追加

謝辞は本来、先生方に対するお礼ですので、直接子供たちに話し掛けるのはイレギュラーかもしれません。

インターネットなどで調べても、そのような文例はあまり見当たらないと思います。

しかしながら、先ほど申し上げた通り、子供たちは修了式のためにとても頑張って練習を重ねてきました。やはりその事に対して、直接子供たちに語り掛けたいと思いました。

また保育所の歴史に幕を閉じる最後の修了式ですから、先生方は相当な熱意を持って、子供たちの練習に根気強く取り組んでくださっている様子でした。

ですから『修了式で頑張った子供たちを直接ねぎらう』語り掛けは、先生方にも共感いただけるのではないかと考えました。

そしてこの部分だけは、他よりも易しい言葉使いにしました。

 

14.ようやく完成

以上のようなことを考えながら、かなり長時間パソコンに向かって、エピソードを書いては消し、順番を変えたりしながら、細かな言い回しを徹底的に修正してゆきました。

適宜妻に見てもらい
『私はこの言葉には共感できない。』
『この部分はこうした方が良いのでは?』
などのアドバイスをもらいました。

実際に声に出してみて、

『先生方はもちろん、子供たちに伝わる内容になっているか?』

『言いたいことは過不足なく盛り込んであるか?』

『不要な文言はないか?(あれば、削除して文章のぜい肉をそぎ落とす。)』

『自分の言葉としてしっくりくるか?』

などを悩みに悩んだ末、ようやく『これで行こう』と思える文章が完成しました。

 

15.全文紹介

1,569文字、時間にして約4分40秒の文章です。

 

謝辞

やわらかな春の日差しが感じられ、間もなく桜も満開となるこの佳き日に、子供たちのために、最高の舞台をお作り頂いた所長先生をはじめ諸先生方、またお忙しい中お越しいただいたご来賓の皆様に厚くお礼を申し上げます。

令和五年度、豊浜保育所の修了式におきまして、保護者を代表してお礼の言葉を申し上げるにあたり、まずは息子の話から始めることをお許しください。

 

三年前、息子の手を引いて入所式にやってまいりました。心臓に病気を抱えている息子を受け入れて頂くために、事前に何度も打ち合わせの機会を作って頂いたこと、とても有難かったです。

ただ、当時の息子は点滴の入ったリュックを背負っていましたので、他の子との違いを感じたり、自分だけ出来ないことがあったりして、辛い思いをするのではないか?という不安も感じていました。

いざ通い始めてみると細やかにお気遣い頂いたおかげで、息子はすんなりと保育所に溶け込むことが出来ました。他の子との違いを気にするそぶりを見せたことは、一度もなかったと思います。

昨年の運動会では、主治医からの指示でリレーへの参加を見合わせましたが、その代わりスタートの号令をかける役割を与えて頂きました。家で動画を見ながら『僕、頑張って大きな声を出したんだよ。』と、まるで自分が主役になったみたいにはしゃいでおりました。

 

豊浜保育所は、隅々まで目が行き届き、安心して子供たちをお預けすることが出来る場所でした。

また教室の入り口に貼ってある掲示物などを見るだけで『子供たちの喜ぶ顔が見たい。』という先生方のお気持ちがひしひしと伝わって来ました。

栄養満点の美味しい給食もご提供頂きました。息子がきちんと食卓に着いて、好き嫌いなく、残さず食べる習慣は、保育所の給食のおかげで身に付けることができたと感じております。

 

夕方四時頃お迎えに行った時には、教室に一列に並べた椅子に子供たちが座って、先生のお話を聞いたり、手を挙げて発表したり、歌ったりする光景を見ることが出来ました。

この時、子供たち全員が椅子に深く腰かけ、膝の上に両手を添え、背筋をぴしっと伸ばして、先生の方を真っすぐ見ていました。その可愛いくて、行儀良い姿を見るのを、私はいつも楽しみにしていました。そしてご挨拶が終わったら、テキパキと椅子を片付けて、帰る子は帰り支度をし、残る子は遊びに駆け出していきました。

子供たちをここまで自発的で規律正しく行動するように躾けて頂いたことに、私はいつも驚きと共に尊敬の念を抱いておりました。

私たちにとってかけがえのない子供たち、その成長に寄り添いながら、いつも優しく、時には毅然とご指導くださった先生方に対して、保護者を代表して、厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

 

ぞう組の皆さん、修了おめでとうございます。あなたたちの立派に成長した姿、心から感動しました。

あなたたちにはこれから、キラキラ光り輝く未来が待っています。でも成長していくにしたがって、他の人と比べられたりして、時には悔しい気持ちや、つらい思いをすることがあるかもしれません。そんな時には、今日のこと、そして今日のために一所懸命練習してきたことを思い出してください。

この修了式で見せてくれたような姿で物事に取り組む時、周りの人たちはいつでもあなたたちのことを全力で応援してくれます。このことをしっかりと胸に刻んで、元気一杯、未来に羽ばたいてくれることを願っています。

 

最後になりますが、この三月をもって豊浜保育所は長い歴史に幕を閉じます。四月から新しく開設される豊浜こども園に、豊浜保育所の素晴らしい伝統が受け継がれ、豊浜の子供たちがこれまで通り最高の保育・教育を受けられることを祈念いたしまして、保護者を代表してのお礼の言葉を結ばせて頂きます。

令和六年三月二十五日
保護者代表
石川克幸

 

ちょっと『文章が固い』と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

保育所からお借りした過去の謝辞は、全てお母さんによるものでした。インターネットで調べてみても、保育所(幼稚園)の謝辞は、多くがお母さんが読まれている印象があります。

どれを拝見しても感動的な文章で、言葉遣いも優しく、柔らかい印象です。しかしながらそちらに寄せ過ぎてしまうと、私(父親)の言葉らしくなくなってしまうと思いました。

実際に声に出して読んでみて、自分の言葉としてしっくりくる文章を作ることを心がけました。

 

16.妻に頼んで筆ペンで清書

横長の謝辞用紙にプリンターで印刷するのは、かなり難易度の高い設定が求められそうでした。

幸いなことに、妻はなかなか達筆なので、筆ペンでの清書をお願いしたところ、快く引く受けてくれました。

 

17.何度も声に出して練習

これを手に、何度も声に出して練習しました。

先ほど申し上げた通り、私は人前で話をする時に原稿を読む習慣がありません。私にとっては、原稿を読みながら、会場の方々に視線を送るのは逆に難しいと感じているので、その辺りを意識して練習しました。

また、インターネットで、『当日泣かないためのコツ』として、『何度も何度も読んでおくこと』が大切とありました。そうすることで文章に対する感覚がマヒ(=ただの文字の羅列だと思いこむ)させると、意外と当日冷静に話すことが出来るようになるという情報を見つけました。

私はこの点も意識して、何度も声に出して読みました。

 

18.いざ本番

当日はあいにくの小雨でしたが、約1時間の修了式はとても感動的なもので、プログラムの中の『修了児・継続児のことばと歌』のパートでは、お恥ずかしながら何度も泣いてしまいました。

感動に浸っている最中に『保護者代表の謝辞をお願いします。』と指名されてしまいましたので、その場で大きく『ふぅ~』と深呼吸して立ち上がり、敢えてゆっくり歩いて、マイクのある場所に進みました。

原稿を胸のポケットから取り出し、天を仰いでもう一度大きく深呼吸。その頃にはすっかり落ち着きを取り戻していました。

『天気が小雨だった』こと、『寒の戻りで桜の開花が想定より遅れた』ことを受けて、冒頭の時候の挨拶部分を『ゆっくりと春が近づき、間もなく桜の開花を迎えるこの佳き日に、感動的な修了式を・・・』とだけ差し替えて、あとは原稿の通りお話ししました。

読むということはせず、原稿のどこを話しているかだけ、時々目で追いながら、めくっていきました。普段とは全く違う精神状態だったので、手元に原稿があるということだけで、精神的に落ち着くことが出来たと思います。

最初の方こそ、子供たちの成長した姿に流した涙が残っていましたが、途中で感極まって言葉に詰まるようなことはありませんでした。

練習の時よりも間を取りながら、全体に目線を配りながら話したため、想定よりは多少時間が掛かったと思いますが、間延びした印象を持たれるようなことはなかったと思います。

 

19.終わってみての反応

終わった後は所長先生を始め、来賓の方々、保護者の方々から
『事情(息子の病気)があるだけに、思いも人一倍ですね。それが伝わって来ました。』
『感動のスピーチありがとうございました。』
『思わず泣きそうになりました。』
『とても良かったです。』
などのお言葉を頂戴しました。

同級生の妹さんが、息子同様に心臓に病気を抱えているお父さん、お母さんは
『とても共感して、泣きながら聞いていました。』
『感動したので、そのことを絶対にお伝えしたかったです。』
とお声を掛けてくださいました。

 

原稿を手書きで清書したことに関しても、所長先生から『お手間を掛けて頂いて・・・』とのお言葉も頂戴しました。

修了式には先生方全てが参加できるわけではありません。ですから謝辞の原稿は職員室で回覧されたのではないかと想像しています。ですから『手書きにしたことによって、より気持ちが伝わった。』という面は間違いなくあったと思います。

翌日、別件で保育所の職員室を訪れた際、担任の先生は不在でしたが、副担任の先生がわざわざ呼びに行ってくださいました。すぐに職員室に戻って来られた担任の先生が『日常のあんな細かい所(入口の掲示物、終礼の時の様子)まで見ててくださったなんて、感激して、号泣しました。』と言ってくださいました。おそらくこれは手書きの原稿を見られてのことだと思います。

 

また、妻に撮ってもらった動画を後で見返してみたたところ、子供たちは全員が姿勢良く私の話を聞いてくれていました。

私が『子供たち全員が椅子に深く腰かけ、膝の上に両手を添え、背筋をぴしっと伸ばして、先生の方を真っすぐ見ていました。』の部分を話した時には、それぞれの子供たちが、改めて椅子にぴしっと座り直してくれました。子供たちがしっかりと私の話を聞いてくれたこと、とても嬉しかったです。

息子に聞いてみました。
『パパの言っていること、ちゃんと伝わった?』
『うん。』
『パパ格好良かった?』
『うん。』
『どの部分が印象に残った?』
『分かんない。』
『(笑)』

親子で記念撮影、息子が恐竜っぽく吠えているのはいつものスタイルですが、修了式の時には賢く立派に振舞っていました(笑)

無事大役を果たせて、ほっと一安心です。息子の人生の節目に、良い思い出が出来ました。

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そして息子が3年間、格別お世話になった先生方に、心からの御礼を申し上げることが出来たこと、そして先生方がとても喜んでくださったことが、何より良かったです。

 

以上が私が豊浜保育所の修了式で謝辞を申し上げたいきさつの全てです。『保育所の修了式』もしくは『幼稚園の卒園式』の謝辞で悩んでいる方の参考に少しでもなれば幸いです。

 

この記事は自称『日本一文章を書くのが好きなふとん屋』が書きました

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自称『日本一文章を書くのが好きなふとん屋』

かつてはカネボウで化粧品研究員をしていました(口紅やマスカラの処方開発担当)。現在は縁あって(婿養子)香川県で寝心地ラボ+ byふとんのせいぶ『西部製綿株式会社』の社長をしています。自称『日本一文章を書くのが好きなふとん屋』です。広島県出身の熱狂的カープファン。現在56歳ですが、9歳と6歳の男の子のおっさんパパ。『寝具』や『眠り』のことだけでなく、『子育て』のことを書くこともあります。もと研究員だけあってかなり理屈っぽいですが、出来るだけ読みやすい文章を心がけています。

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