【問題解決】マニフレックスマットレスが膨らまなかった場合の対処方法

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マニフレックスマットレスが膨らみ切らない

 

先日クイーンサイズのフラッグFXをお届けしたOさまから『数日経っても、端の方が膨らみきらない。』というご連絡を頂きました。

そこでO様のお宅に伺い、フラッグFXをお預かりしてお店に持って帰りました。

確かに頭側と足側の膨らみが不十分です。

拡大するとこのような感じです。

これでは使いにくいと思います。

今回の事例をケーススタディに、マニフレックスマットレスが膨らみ切らない場合の対処法をご紹介したいと思います。

 

マニフレックスマットレスの特徴『真空ロールパック』

 

マニフレックスの特徴の一つに真空ロールパック。

 

保管や輸送スペースを節約できるナイスアイデアだと思います。

通常1日程度で本来の硬さに膨らみます

この真空ロールパックは開封後徐々に膨らみ、気温や真空状態に置かれた期間によっても異なりますが、約1日程度かけて本来の硬さにまで復元します。

ですから当店でご購入いただいた場合、お客様に『今日からお使いいただくことが可能ですが、今晩は膨らみ切っていないので、本来の寝心地よりも柔らかいはずです。本来の寝心地になるのは明日の夜からだと思ってください。』ということをお伝えしています。

 

膨らみが悪い場合にまず試して欲しい方法『側生地を引っ張る』『ウレタンをもむ』

 

 

しかしながらごくまれに、自然解放では完全に膨らみ切らないという事態が生じます。

その場合の多くが、側生地と中芯のウレタンがへばりついた状態になっており、そのことがウレタンが空気を取り込んで膨張するのを妨げていることに起因します。

この場合は『側生地を引っ張って、中芯のウレタンとのへばりつきをはがす』そして『ウレタンをもむ』ことで解決します。

すぐにポンと膨らむようなことはありませんが、徐々に膨らんでいくと思います。

 

 

しかしながらこの方法ではダメなケースもあります。

今から10年ほど前、フィレンツェスーパーウィング(現在は廃盤)のあるロットで膨らみが悪いという事態が頻発したことがあります。この時の原因は使っている接着剤に問題があったことが原因だったと聞いていますが、その後そういった事態は生じてはいないようです。

ただそれ以外の理由(真空状態で保管された期間の長さ)で、膨らみ切らない場合がまれに生じます。この点に関しては、この記事の最後でご紹介します。

 

それでも膨らまなかった場合の対処法『スチームアイロン』

 

先ほどご紹介した方法を試して、しばらく待っても膨らまず、その部分のウレタンを触ってみたらカチカチに硬い場合にはより高度な対処が必要となります。

スチームアイロンを用います。

普通のアイロンのスチーム機能ではパワーが足りないので、ボタンを押すと『プシュ~』と出る強力タイプのスチームアイロンが必要です。

これをマットレスのふくらみの足りない部分に押し当てて、スチームを吹き掛けます。

手荒なやり方に思われるかもしれませんが、メーカー推奨の対処法です。

マニフレックスに使われている『エリオセル』や『エリオセルMF(マインドフォーム)』などの素材は、耐熱性に優れ、スチームアイロンの熱で傷んでしまうようなことはありません。

ただし、側生地を汚してしまわないよう、タオルを折りたたんで当て布をする必要があります。

スチームを当てたらすぐに『ポコッ』と膨らむのではなく、徐々に膨らんでいくので、ある程度時間を掛けてじっくり取り組む必要があります。

下の画像の左右を見比べてみてください。

向かって右側はだいぶ膨らんでいると思いますが、こちらだけスチームを当てています。向かって左側は未処理です。

最終的にはこんな感じです。

 

 

やや時間が掛かる地道な作業ではありますが、案外楽しい作業でもあります。

まだ『少し膨らみが弱いかな?』という箇所も見受けられますが、ここまでくれば使用上の問題はありませんし、後は自然と膨らんでいきます。

この状態まで膨らませて、改めてSさまのところにお届けし、ベッドにセッティングしました。

 

マニフレックスマットレスが膨らまない原因『真空保管期間の長さ』

 

Oさまからは『やっぱり冬は膨らみにくいのですかね?』とのご質問を受けました。

もちろん気温の影響はあります。気温が高い方が膨らみやすいのは当然の話です。

しかしそれ以上に重要なのが真空状態で保管された期間の長さです。

ご存知の通り、マニフレックスマットレスはイタリアで製造された後、真空パック化され日本に届きます。

真空状態で保管された期間が長くなればなるほど、膨らみが悪くなるリスクがあります。

もちろんこれは、先ほどご紹介した対処方法で解決できるので不良品ではありません

例えばシングルサイズのメッシュウィングであれば、売れ筋モデルなのでどんどん在庫が回転するため、真空保管期間は長くありません=膨らみやすい。

今回の場合、上級モデルのフラッグFXの、しかもシングルサイズではなくクイーンサイズであったため、そこまでの売れ筋モデルではなく、真空状態で長期間保管されたと考えられます。

実際メーカーから送られてくる在庫表には、在庫期間が長い商品には『開封販売推奨』と記載されているようなものもあります。

 

地域密着型の実店舗だからこそできること

 

以上のように、マニフレックスマットレスが膨らまない場合の対処法は、慣れている人間からすると簡単です。

しかしながら、一般の方が初めてやると『不安』『なかなか上手くいかない』あるいは『強力スチームアイロンを持っていない』という方がほとんどだと思います。

やはりこういったケースは、販売店が対処すべき案件ではないかと思います。

当店でも過去に6、7回対応したことがあります。マニフレックスマットレスを取り扱い始めて10年あまりなので、2年に1回程度の頻度です。

問題なのは、ネット通販で買われた場合です。

例えば四国にお住まいの方が、関東のネットショップから購入したようなケースの場合、そのネットショップは対応することが出来ないはずです。そしてトラブルになるケースが多々あるそうです。

 

私自身の失敗談

 

かれこれ5、6年前のことだと記憶しています。

当店にあるモデルのマニフレックスのベッドマットレスの廃盤在庫品がありました。

廃盤になって時間が経ち、なかなか売りにくいので、HPに『在庫品を処分しますのでお問い合わせください。』と記載してみました。それからかなり時間が経って、私自身もそれを書いたのを忘れた頃にお客様からのお問合せを頂きました。

その方は関東に在住の方でした。

在庫として保管した期間が長かったので『膨らみが悪い場合があります。』ということ、そして『その場合の対処方法(この記事に記載しているような内容)』をお伝えしたところ『分かりました。』ということで、在庫処分価格にて販売することとし、お送りしました。

数日が経った頃、お客様から『膨らみが悪い。』とのご連絡をいただきました。

そこであらかじめお伝えした通り、アイロンを使っての対処をお願いしました。ところが『(スチームアイロンは)持っていない。』とのこと。そこで当店からスチームアイロンをお送りすることにしました。

しかしながら『(スチームアイロンを使っても)膨らまない。』とのご連絡をいただきました。

メーカーにも確認しましたが、どんなに古くてもスチームアイロンを適切に使えば、必ず膨らませることが出来るので、『何とか頑張ってみてください。』とお願いしましたが『いくらやっても膨らまない。』とのことで、その方はだいぶイライラしているご様子でした。

さすがに私がその方のお宅まで伺う(香川→関東)ことは出来ないので、やむなく同等品の新品を手配し(もちろん費用は全て当店負担で)そのお客様のところにお送りしました。併せて当店から送ってもらった在庫品のマットレスは、先方にて処分してもらうことにしました。併せてアイロンは着払いで返送いただくことにしました。

こちらとしては最大限の誠意を尽くしたつもりで『何とか、これで解決』と胸をなでおろしていたところ、再度そのお客様からお電話を頂戴しました。

その当時、メーカーがシーツプレゼントキャンペーンを実施していたらしいのです。

『最初からそちら(メーカーのサイト)で買っていたら、シーツがもらえたはず。自分は余計な手間ばかり取らされて、損をした。』と仰るのです。

そこで、追加で当店からシーツもお送りしたところ、これで何とかそのお客様はようやくご納得くださいました。

それにしても、こちらからお伺いできない場所にお住いのお客様と、しかも一度も顔を合わせることもなく、きちんとコミュニケーションを取れない状況で、マットレスをご購入いただいた場合、何かあった時の対応の難しさを痛感した出来事でした。

実際にお店にご来店いただけないお客様にはマットレスを販売する場合には通常以上に慎重になるべきだと改めて思いました。

当店のHPやブログを見た遠方にお住まいの方から、マットレスに関するお問い合わせをいただく機会がよくあります。そういった場合、可能な限りその方のお話を聞きし、分かる範囲でご説明差し上げますが、最終的には地元の実店舗で購入することをオススメするようにしています。

そして、このブログを見られている方にも『(もしお近くにそういったお店があるのであれば)マットレスは地域密着型の実店舗で購入された方が安心』ということをお伝えしたいと思います。

 

この記事は自称『日本一文章を書くのが好きなふとん屋』が書きました

社長 石川克幸ストーリーはこちら

 

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自称『日本一文章を書くのが好きなふとん屋』

かつてはカネボウで化粧品研究員をしていました(口紅やマスカラの処方開発担当)。現在は縁あって(婿養子)香川県で『寝心地ラボ+ byふとんのせいぶ(西部製綿株式会社)』の社長をしています。自称『日本一文章を書くのが好きなふとん屋』です。広島県出身の熱狂的カープファン。現在56歳ですが、9歳と6歳の男の子のおっさんパパ。『寝具』や『眠り』のことだけでなく、『子育て』のことを書くこともあります。もと研究員だけあってかなり理屈っぽいですが、出来るだけ読みやすい文章を心がけています。
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